うんこの話
こんばんは
大学生だった頃に唯一サークルとかゼミとかのくくりではなく、自分から友達になりたいと思って声をかけたあすかちゃんという男がいる。
去年の暮れにあすかちゃんと唯一高校からの友達二人と4人で飲むことになった。
4人の共通点としては音楽が好きというところだけで、まぁありきたりな感じではあるけど久しぶりでもあるので楽しみにしていた。
梅田の第3ビルの大衆居酒屋で飲んだ。いい感じにお酒も入って音楽の話からあすかちゃんの女性遍歴の話になった。その話の始まりはあすかちゃんの「俺はうんこなんだよ」という一言から始まる。この一言から学生時代に鬱屈とした繰り返しをしていた、もしくは今もしている人ならすぐにうんことはなんなのかがわかると思うけど、簡単な話、女性の経験がないという一言に尽きる。
あすかちゃんが言うには女性との関わりの中で幸せとか安心というものを味わったことが極端にない奴が”うんこ”らしい。俺も酔いもあったし、もちろん高校生の頃に峯田和伸に「なむなむ」と拝んでいた俺もそのつもりでいたので「俺もうんこやんけ」と共感の意を伝えた。
でもあすかちゃんは「かっちゃんは彼女おったやん」と一掃する。
まぁ確かに楽しかった時もあったかも知れない。でもそんな女の子はもういてないし、それでわかったのはやっぱり俺もうんこなんだということだったからこそやっぱり俺はうんこだった。うんこなんやで、あすかちゃん。
あすかちゃんは譲らずに「オマエハニンゲン、オレハウンコ」と連呼する。
話を聞くとあすかちゃんは女性との関わりがないわけではない。
というか俺より全然ある。付き合うというところまではいってないにしろ、この人が好きかも知れないという何にも代えがたい気持ちになってる数は俺より多いはず。
しかし上手くいかなさを前面に出したあすかちゃんはうんこから変わることなく、便器にへばり付いて流しても流しきれないような粘っこさがあった。
俺も負けじと今の上手くいかなさというより、何にもない自分を自慢げに話した。
でもこれが一番ダサいことも知ってる。やめられない。多分良い大人にはならない。
ここで俺はこの粘っこさに勝てないことが分かってしまった。というより負ける怖さから「オマエハウンコジャナイ」という方向でさらに「オマエはビビっとるだけで自信を持ったり可能性を捨てるべきではない」とめちゃくちゃ偉そうに話してしまった。
うんこってめっちゃ言った。ごめんよあすかちゃん。
その飲み会には女の子も一人いて、帰り際に「女の子の前でうんこはマジで違う」と冗談だよと言いつつも静かなマジ説教を受けて平謝りした。
情けないし面倒くさいしクソダサいと心底思った。俺らが。
己をうんこと卑下してまで何にもないかも知れない己を底上げしようとするドブネズミ感があった。ごめんな。
次回から飲み会では「長ネギうまいな」しか言いませんので安心して呼んでください。
うんこにもなれない俺らに乾杯。